冬の味覚の王様として、多くの食通を魅了するあんこう。そのあんこうを語る上で、なぜ茨城県が「聖地」とまで呼ばれるのでしょうか。それには、単に漁獲量が多いだけではない、2つの明確な理由があります。

理由1:常磐沖で獲れる極上のあんこう
茨城県沖の「常磐沖」は、親潮と黒潮がぶつかる栄養豊富な漁場です。そこで育ったあんこうは、肝が大きく、身が締まっているのが特徴。特に、冷たい海の底でじっとエサを待つあんこうは、冬になると産卵のために栄養をたっぷりと蓄え、その身と肝はまさに極上の味わいとなります。
理由2:江戸時代から続く食文化の歴史
茨城県では、江戸時代からあんこうが郷土料理として親しまれてきました。船上で漁師たちが食べたのが始まりとされる「どぶ汁」など、あんこうを余すことなく使い切る調理法や食文化が、この地に深く根付いているのです。この歴史の積み重ねが、他では真似のできないあんこう料理の深みを生み出しています。
これぞ本場の味!知っておきたいあんこう鍋の2つの秘密
茨城のあんこう鍋を120%楽しむために、絶対に知っておきたいのが「どぶ汁」と「七つ道具」という2つのキーワードです。
秘密1:水を一滴も使わない究極の鍋「どぶ汁」とは?
「どぶ汁」とは、あんこうの肝を鍋で炒り、味噌を加えてベースを作り、あんこうと野菜から出る水分だけで煮込む、漁師直伝の伝統的な調理法です。水を一切加えないため、あんこうの旨味と肝の濃厚なコクが凝縮された、まさに究極のあんこう鍋。その濃厚さは一度食べたら忘れられない、衝撃的な美味しさです。
※現在では、多くの店がスープで割るなど、食べやすくアレンジした「あんこう鍋」を提供しています。「どぶ汁」を味わいたい場合は、提供しているか事前に確認しましょう。
秘密2:捨てるところなし!あんこうの「七つ道具」の魅力
あんこうは「捨てるところがない魚」と言われ、その可食部は「七つ道具」と称されます。
- 身(柳): 淡白で上品な味わいの白身。
- 肝: 「海のフォアグラ」とも呼ばれる、濃厚でクリーミーな珍味。
- 胃(水袋): コリコリとした食感が楽しい。
- 皮: ゼラチン質でぷるぷるの食感。コラーゲンたっぷり。
- エラ: 軟骨のような独特の歯ごたえがある。
- ヒレ(トモ): 皮と同様にゼラチン質で美味しい。
- 卵巣(ぬの): 鍋に入れると花が咲いたようになり、ほろりとした食感。
これらの部位が一体となることで、あんこう鍋に複雑で奥深い味わいを生み出しているのです。
【エリア別】これを食べるために旅をする!茨城の絶品あんこう鍋の名店3選
茨城県内でも、エリアによってお店の特色があります。ここでは、旅の目的地にしたい名店を厳選してご紹介します。
【大洗】あんこう鍋の聖地で味わう名店
あんこうの水揚げ港として有名な大洗町は、まさに聖地。老舗旅館や割烹が軒を連ね、伝統の味を守り続けています。有名店が多く、予約必須のお店も多いですが、王道の味を求めるならまず訪れたいエリアです。
【北茨城・ひたちなか】港町で味わう伝統の味
北茨城市の平潟港も、あんこうの有名な水揚げ港です。どぶ汁発祥の地とも言われ、より漁師料理に近い、素朴で力強い味わいのどぶ汁に出会えるかもしれません。ひたちなか市の那珂湊おさかな市場周辺にも、新鮮なあんこうを提供するお店が集まっています。
【水戸】県都でアクセス良く楽しむ名店
水戸駅周辺にも、本格的なあんこう鍋を提供するお店があります。都心からのアクセスも良く、「日帰りで気軽に楽しみたい」という方におすすめ。郷土料理店や個室のある割烹など、様々なシーンに合わせてお店を選べます。
泊まって満喫!あんこう鍋が自慢のおすすめ宿2選
絶景とどぶ汁を堪能できる温泉旅館
太平洋を望む絶景の温泉に浸かり、夜は部屋食でゆっくりとあんこう鍋を味わう…そんな贅沢な体験ができる温泉旅館が大洗や北茨城にはあります。心ゆくまであんこうを堪能したいなら、宿泊プランを利用するのが一番です。
あんこう尽くしプランが人気の民宿
「あんこうの共酢和え」や「あんこうの唐揚げ」など、鍋以外のあんこう料理も楽しめる「あんこう尽くし」プランを用意している民宿も人気。アットホームな雰囲気の中で、あんこうの魅力を余すことなく味わえます。
後悔しないために!あんこう鍋を食べる際の3つの注意点
注意点1:旬の時期(11月~3月)を狙う
あんこうが最も美味しくなるのは、肝が肥大する冬の時期。多くの店では、あんこう鍋は11月頃から3月頃までの期間限定メニューとなっています。この時期を狙って訪れましょう。
注意点2:人気店は予約が必須
特に週末や年末年始は、どこのお店も大変混雑します。有名店や「どぶ汁」を提供するお店は、数週間前からの予約が必須と考えましょう。当日行って入れない、という悲劇を避けるためにも、事前の電話確認は欠かせません。
注意点3:予算は余裕を持って計画する
あんこう鍋は、一人前3,000円~5,000円程度が相場。特に、手間のかかる「どぶ汁」は、より高価な場合があります。お酒などを加味し、一人あたり8,000円~15,000円程度の予算を見ておくと安心です。
まとめ:この冬、最高のあんこう体験を求めて茨城へ
常磐沖の豊かな海が育んだ極上のあんこうと、江戸時代から続く伝統の食文化。その二つが交差する茨城には、他では決して味わえない、本物のあんこう鍋がありました。
あん肝の濃厚な旨味が溶け込んだ究極の「どぶ汁」と、食感も楽しい「七つ道具」の数々。この記事を参考に、ぜひこの冬は、あなたの食の記憶に深く刻まれるであろう、最高のあんこう体験を求めて、茨城へ旅してみてはいかがでしょうか。



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